Ethtronic Music Unit 茜-AKANE-
ZAKKI (雑記)
中谷一郎さんのこと
俳優座のとある公演の宣伝用テーマソングを作るという仕事を
いただいたことがありまして、その時に舞台に立っていた方が、
中谷さんでした。
弥七はそのキャラクターから身軽で小さい人というイメージが
私の中にはあったんですが、実際の中谷さんは
けっこう背が高くて紳士で、とても素敵なおじさまでした。
たしかこの頃水戸黄門を引退した(と思うの)ですが、
舞台稽古の日稽古場に、スポンサーにもらったという
大きな段ボール箱いっぱいの水戸納豆を持ってきて
好きなだけ持ってってくれ~とそこいら中の人に配って歩き、
私にも、体にいいからたっぷり食え!とか言ってどっさりくれ、
しばらく我が家は納豆生活に入りました。
誰でも気さくに話しかけてくれて
私なんかちょっと音楽作ってるただの学生なのに、
音楽の先生!とか呼ばれ、今の芝居どうだった?とか
唐突に聞かれてがちがちに固まっちまいました。
通し稽古を一回すると、必ずそのあとディスカッションがあり、
演出家や共演者との打ち合わせや反省をする他に
中谷さんは見学に来ている学生や若いスタッフなどにも
意見を求め、どんなことにも耳を傾けてました。
10日間ほどの全公演を済ませ、
全スタッフ共演者そろっての打ち上げ中に
まだろくに酒の飲めない私なんぞを相手に、
今や男の権威はすっかり落ちてしまった、
今の俳優座は俳優座じゃない、女優座だよ・・などと
愚痴モードに入っていた中谷さん。
(ちょうど芝居の内容がそんな感じのストーリーだったですなー)
あの時期だけの短いおつきあいでしたが、
とても貴重な時間をいただきました。
どうぞ安らかにお眠りくださいませ。
by sally